モーツァルト
①ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
②ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467

アルテュール・スホーンデルヴィルト（フォルテピアノ、指揮）
クリストフォリ・アンサンブル
録音：2011年

ベートーヴェンの『皇帝』で衝撃を与えたフォルテピアノのスホーンデルヴィルトとクリストフォリ・アンサンブルが、モーツァルトに挑戦した衝撃の名演です。オーケストラは各パート１奏者。しかし物凄い迫力で独奏に全くひけをとらぬどころか、聴く者を終始圧倒します。スホーンデルヴィルトの独奏も変幻自在、1782年製アントン・ヴァルターのレプリカによるフォルテピアノはチェンバロを思わす銀色の音色が魅力です。もともとドラマティックな20番ながら、過去に類のない強烈さで迫ります。

輸入盤なので全く話題になりませんが、（スホーンデルヴィルトという長くて難しい名前も原因のひとつか？）このコンビによるベートーヴェンの全集と同じく素晴らしい演奏。オケは小編成ですがダイナミックで劇的な演奏なので全然気にならない。

モーツァルトは音の色糸によるゴブラン織だった！クラヴィーア・コンチェルトを聴いた実感がない。全パートを独奏するスホーンデルヴィルトとクリストフォリによるアンサンブルは古楽器の音色の魅力と音力の勢いが絶妙の均衡を保つ。フォルテピアノが要にいても音楽の主人公ではない。全ての楽器が奏でる楽句が同価値で意味を語りだす。主役と脇役では成り立たない「群像劇」を観ている面白さとでも言おうか。モーツァルトの新作協奏曲を聴いた思いだ。奇しくもモーツァルトの天才を今更ながら思い知った。こことは違う畑で音楽を耕す人にこそ聴かせたい。また演奏してもらいたいモーツァルトがここにいる。

はじめは、フォルテピアノってこんなに多様な表現が可能で、こんなにも美しいピアニシモを奏でられるのかと驚き、後に楽器自体の魅力を超えて、管弦とのまさに絶妙としか言いようのない音響に魅惑されてしまう。溶け込んでしまうのでなく、かといって緊張感のあるザラツキとも全く異なる。未体験としか言いようのない音響感は、ヴェテラン古楽リスナーをも満足させるはず。

輸入盤【新品未開封】廃盤？　24

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